【感想】恋のドッグファイト|最悪な出会いから始まる甘すぎないラブストーリー

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概要

公開:1991年

監督:ナンシー・サヴォカ

出演:リバー・フェニックス、リリー・テイラー

あらすじ

舞台はベトナム戦争真っ只中のアメリカ、サンフランシスコ。

翌日に出征を控えた1963年11月21日、若き海兵隊員たちは彼らが「ドッグレース」と呼ぶ、誰がいちばん”不細工”な女性をパートナーとして連れて来たかを競うパーティーを開くことになる。

エディ(リヴァー・フェニックス)はカフェで見つけたローズ(リリー・テイラー)をなんとかパーティーに連れて行く。バイトばかりの毎日に飽き飽きしていたローズはドレスアップして舞い上がるが、彼らが女性に順位をつけて遊んでいることを知り激怒する。

ローズに謝罪したエディは晩御飯に誘い出し、ふたりは徐々に惹かれ合うが、翌朝エディは出征してしまう。

感想

リヴァー・フェニックス見たさに選んだ作品。

甘いラブストーリーを想像してたけど、戦争に対するメッセージ性もある作品で、塩キャラメルみたいなバランスの取れた作品。

恋愛だけじゃない戦争の悲しみも描かれた作品

ベトナム戦争を背景に、若き海兵隊たちの男性として成熟しきらない無邪気な姿と、ピュアな恋愛を描いている。

恋愛だけにフォーカスしたラブストーリーとは違い、戦争に対するメッセージ性の感じられる作品で、ピュアなふたりの恋に温もりを感じながらも心をが少し乾くような寂しさを感じさせられた。

 

出征を目前にエディの仲間は、男同士で呑み、女の子と遊び、鉢合わせた海軍と喧嘩して、酔っ払ったノリでお揃いのタトゥーを入れたりと豪快に一夜を過ごす。

一方エディとローズの過ごす時間は、高価なレストランで一人分の料理を分け合い、公園に腰掛けお互いを語り、ピアノを弾いて歌を歌い、無数のオルゴールが奏でられる中でキスしたりと、静かで温かい。

 

一夜を描いたこの作品は、仲間、男女のそれぞれの夜を交互に対比するように描かれている。

子供から大人になりゆく18歳の彼らの友情や恋愛、希望など何気ない日常が翌朝には戦争によって全て引き裂かれてしまうんだなと、傍観してしまった。

 

翌朝、海兵隊の仲間のもとに戻ったエディは、昨夜過ごした相手を14歳も年上のブロンドの人妻だと言って嘘をつく。

幼さゆえの恥ずかしさとか見栄から出た嘘かなとも思ったけど、戦争に向かう自分がまさか、好きな女性ができて一緒に過ごしていたとは言えなかったのかな。ローズのことは忘れて戦争という現実を受入ようと思ったのだろう。

ウソに漬かった世の中

海兵仲間のバージンとエディはお互いのウソを暴露し合う。

仲間うちでウソをついていた事実にエディは「俺たちバカだ。なぜこんな風になってしまったんだ?」とがっかりする。

そんなエディに対してバージンの言う台詞に少し考えさせられた。

 

「ウソだらけの世の中だ。ダチ同士でウソを信じ合う。

バカとは違う。仲間ってことだ。

海兵隊海兵隊のウソを信じる。海兵隊は大統領のウソを、大統領は国民のウソを信じ込む。

それがアメリカだ。」

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私も日常でとっさに何気ないウソをついてしまうことがある。

 

小さな見栄とか、本当のことを話す恥ずかしさとか恐れとかが原因で口をついて出てしまった後、自分が嫌になる。

それを信じている、家族や友人がとても純粋でキレイに見えて、申し訳ない気持ちにもなる。

 

そんなことが、誰にでも起こっていて、そう考えると本当に世の中はウソで溢れてるのかも。

大事なのは、そんなウソまみれの世の中で、どれだけの真実に出会えるかってことなのかな。

 

家族、本当の友情、好きな人への愛、自分の心。

 

世の中はきっとウソよりも真実の方が少ないのかも。

今までと今後出会う真実を大切にして、清く生きたいと思った。

幸せを運んではくれない青い鳥

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ドッグファイトパーティーで、エディは自身の右手の甲にある青い鳥のタトゥーについて「幸せの青い鳥。おれを災いから救って幸せの国へ運んでくれる。」と言っていた。

しかし、戦争から帰還した終盤のシーンでは、訪れたバーでマスターに「幸せは運ばないが飛べる。」と説明している。

 

小さな希望を失った青年は、同時に大人の男性へと強く成長しているようにも思える。

 

 

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再会したローズはすっかり垢抜けて綺麗になっていた。

エディと出会って恋をしたあの夜から、会えなくてもずっと心の中でエディを想い続けた一途な想いがローズを美しく変えたのだろう。

 

ラストに再会した後のシーンでは言葉を交わさないのがまたいい。

離れていた時間の色々な苦しみや不安からやっと解放されたように、二人はただ抱き合って温もりを実感する。

芯の強い女性はやっぱり魅力的

ドッグファイト」とは知らず、嬉しそうにパーティーに向かう道中のローズは、終始おしゃべりで落ち着きのない世間知らずの女の子の印象があったが、見ているうちに知的でユーモアのある純粋な女の子なんだなと感じた。

小柄で、声も可愛らしいが芯の強さも感じられるローズにエディも惹かれるわけだよね。

好きなシーン

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部屋中に無数に置かれたオルゴールが流れる中でのキスシーン。

 

ふたりとも緊張から全身に力が入っていて、かなりぎこちないファーストキス。すごくピュアで美しい画なのに、気取っていないロマンチックさですごく良かった。女性監督だから創れたシーンかもしれないな。

 

オルゴールを流すために必死で小銭を入れているエディの姿は「ここでキスしよう!」と意を決しているようで、愛おしくてかっこよかった。

出演俳優について

わたしはリリー・テイラーの少しかすれたセクシーでお茶目な話し方が大好きだ。

小柄なのもあるかもしれないが、外国人女性の表立った強さをあまり感じさせず、スタイル抜群と言い難い体型も親近感が持てて安心する。

 

どの作品を見ても、陰を感じさせるリヴァー・フェニックス

ジャー・ヘッドすらもかっこいい。。。

 

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